LTV(融資比率、Loan-to-Value)
たった一つの比率が、投資家とレンダーの損失との間にどれほど薄いクッションが残されているかを決める。
融資比率(LTV)は、物件価値のうちどれだけの割合が負債によって賄われているかを示す指標です。100万ドルの建物を70万ドルのローンで購入すれば、LTVは70%となり、残りの30万ドル、すなわちエクイティは、買い手自身がリスクにさらしている資金です。単純な比率にすぎませんが、レンダーがどんな案件を見る際にも最初に、そして最も重要視するレンズです。なぜなら、これは率直な問いに答えるものだからです。「もしこのローンが焦げ付き、物件を急いで売却しなければならなくなった場合、レンダーが損失を出し始めるまでに価格はどこまで下落しうるか」という問いです。
LTV70%の場合、レンダーの元本がリスクにさらされる前に、物件価値は30%超下落する必要があり、これはかなり厚いクッションと言えます。LTV90%の場合は、価値が10%下落するだけでエクイティのバッファーが丸ごと消え去り、レンダー自身の資金が危険にさらされてしまいます。だからこそLTVはレンダーにとって中核となるリスクの目盛りとして機能します。LTVが低いローンほど金利条件が良く、審査も通りやすくなります。レンダーが晒される下振れリスクが小さいからです。逆にLTVが高いローンほど審査は厳しくなり、金利は高く設定されるか、そもそも断られることもあります。誤差の許容幅が薄いためです。
LTVはまた、市況サイクルに合わせて振れる性質があり、しかもすでに起きている動きを増幅させます。好況期には、レンダー間の競争が最大LTVを押し上げます。優良資産であれば75%、80%、時にそれ以上に達することもあります。価格上昇が続く中では、誰もがクッションは安全だと感じるからです。借り手はこれに応じてレバレッジを増やし、それがより積極的な入札を可能にし、それが価格をさらに押し上げます。景気後退局面では、この逆の動きが一気に起こります。レンダーは最大LTVを55%や60%まで引き下げ、借り手はそれまで通りの購入資金を調達できなくなり、市場全体の購買力が縮小します。これは時に価格そのものの下落よりも速く進むため、信用収縮が、売り手側は原理的には売る意思があるにもかかわらず、取引量そのものを凍結させてしまう一因となります。
LTVにはもう一つ、あまり知られていない使い道があります。リファイナンスです。保有期間中に物件の収益と価値が伸びていくと、オーナーはしばしばリファイナンスを行えます。すなわち、今や高くなった価値に対して、より大きな新規ローンを組みつつ、当初と同じLTVの割合を維持するのです。うまく行えば、これによって投資家は原資産を売却することなく案件から現金を引き出すことができ、場合によっては物件を完全に所有し続けたまま、当初の投資額をまるごと回収することさえ可能になります。ずさんに行えば、市況の下落局面において、借り手が物件の価値以上の負債を抱えることになる、まさに同じメカニズムが逆方向に働きます。
LTVと関連しながらも別の概念である「融資対コスト比率(LTC)」との違いも押さえておく価値があります。LTCは、完成後の安定稼働時の価値ではなく、土地代プラス建設費という開発プロジェクトの総コストに対して負債を測る指標です。デベロッパーは両方を注視します。LTCはレンダーが建設予算のうちどれだけを融資する意思があるかを左右し、LTVは完成予定価値をもとに算出され、建物が完成し、リースアップされ、収益を上げ始めた段階でそのローンがどう見えるかを左右します。
LTVは、その案件が良い案件かどうかを測る指標ではありません。それは、その案件にどれだけの誤差の許容幅が残されているかを測る指標であり、借り手にとって、そしてとりわけその背後にいるレンダーにとって、重要な意味を持つものです。