再調達価格——シートベルトの問い「新築するならいくらかかるか」

中古車を探しているとします。

再調達価格——シートベルトの問い「新築するならいくらかかるか」


中古車を探しているとします。ディーラーは三万ドルを提示してきました。それが良い買い物なのかぼったくりなのか判断がつかないので、あなたはもっとも単純な質問をします。「これ、新車だといくらするんですか」。もし新車が六万ドルなら、三万ドルの中古車は安心できる価格に思えます。多少の経年劣化を差し引いても、ほぼ半額なのですから下値リスクは限られます。しかし新車が三万二千ドルで、中古が三万ドルだとしたら、話は違ってきます。それは他人が使った車に、ほぼ新車と同じ値段を払うようなものです。

不動産にもまったく同じ問いが組み込まれています。「この建物を言い値で買うのと、同等のものを一から建てるのと、どちらが安いか」。この一つの問いこそが、払いすぎを防ぐ最初のシートベルトとして機能します。業界ではこれを再調達価格と呼びます。

一本の電話から生まれた計算

ハーバードで長年不動産実務を教えたウィリアム・プールヴが、自身のキャリアからこの概念を鮮やかに物語るエピソードを紹介しています。あるブローカーから電話がかかってきます。ボストン郊外にある延床面積8万平方フィートのオフィス・倉庫複合施設で、売り出し価格は150万ドルだという。電話を切る前から、彼はすでにメモ用紙に数字を書きなぐり始めていました。

売り出し価格を面積で割ると、1平方フィートあたりおよそ18.75ドルになります。しかし彼はその地域での新規倉庫建設コストが1平方フィートあたり約40ドルであることを知っていました。しかもこの数字は、単なるレンガとコンクリートの費用ではありません。土地取得、造成、設計・エンジニアリング費用、リースアップや資金調達コストまで含めた、フルコストです。つまり売り出し価格は、今この建物を新築する場合にかかる費用の半分にも満たなかったのです。

彼は一つの経験則を胸に電話を切りました。「同じ条件で競合物件を建てるのに二倍のコストがかかるのなら、おそらく誰もそれを建てようとはしない」。この一文こそが、再調達価格テストのすべてです。新築の方が高くつくなら、わざわざあなたの持ち物と競合する新しい建物を建てようとする人はいないのです。

シートベルトが実際にかみ合う仕組み

市場のロジックをもう一段掘り下げると、これがなぜ安全装置として機能するのかがよくわかります。ある市場で、相場を大きく下回る価格の古い建物が売りに出されたとします。もしその価格が新築コストを下回っているなら、開発業者がその近くに新規供給を建てて賃料で競争しようとするインセンティブはほとんどありません。新築するということは、より高いコスト基盤をテナントに転嫁することを意味しますが、すでにその計算を打ち崩す安い既存建物が存在しているからです。購入価格と再調達価格の差が大きいほど、競合する新規供給が押し寄せてくるリスクは低くなります。そしてこの差こそが、あなたが今買った資産の価値を守る底値として機能するのです。

逆もまた然りです。購入価格が再調達価格に近づく、あるいはそれを上回っている場合、あなたは実質的に「新築する権利」に対してすでにフルプライスを支払ってしまったことになります。この場合、建物の経年劣化や立地の欠点はすべて純粋な損失です。他人の中古車に新車と同じ値段を払うのと何ら変わりありません。

ただし、ひとつ注意が必要です。再調達価格と購入価格の差が大きいからといって、それが自動的に「お買い得」を意味するわけではありません。再調達価格は資産の種類によって大きく異なり、この違いを見落とすのはよくある失敗です。倉庫は1平方フィートあたりの建設コストが安く、オフィスははるかに高くつきます。同じ市場であっても、オフィスの建設コストが倉庫の建設コストの二倍近くになることは珍しくありません。つまりこのシートベルトは「常に再調達価格を下回って買え」という絶対的なルールではなく、同じ資産クラスの中で比較したときに差が存在するかどうかを見る、相対的な指標なのです。

大陸は違えど、ロジックは同じ

この原則はどこか一つの市場に限った話ではありません。あるヨーロッパの物流拠点では、パンデミック後にeコマース需要が倉庫賃料を大きく押し上げました。それでも、老朽化した既存倉庫の売却価格は、依然として再調達価格を大きく下回ったままでした。土地代、建設コスト、許認可の遅れまで織り込むと、新築の方がはるかに割高だったからです。この差のおかげで、既存の倉庫オーナーは新規供給という現実的な脅威にさらされることなく、何年にもわたる賃料上昇の恩恵を享受できました。

一方、アジアのある新興オフィス地区では、正反対のシグナルが現れました。開発ブームが売り出し価格を押し上げ続け、やがてその価格は近隣で新築オフィスを建てるコストに追いついてしまいます。その時点で市場参加者は計算をやり直し、既存資産を買うより土地を買って新築する方が理にかなっていると判断し始めました。その結果、新規供給が一気に流れ込み、既存物件価格の上昇の勢いに歯止めがかかりました。再調達価格というシートベルトが外れた瞬間、市場は自らブレーキを踏んだのです。

シートベルトであって、エアバッグではない

この安全装置には明確な限界があります。再調達価格が説明してくれるのは、価格がこれ以上崩れにくい理由であって、その建物が実際にうまく機能するかどうかではありません。たとえ再調達価格を大きく下回る価格で買えたとしても、その立地にそもそも需要がなく、誰もそこに何かを建てようとは思わないのであれば、低い購入価格は「割安な機会」ではなく、単に「誰も欲しがらない物件」にすぎません。

だからこそ、経験を積んだ投資家は再調達価格テストに、必ずもう一つの問いを組み合わせます。「なぜこの差が生まれているのか」。市場が本来存在する価値を単に見落としているだけなのか、それともその立地が構造的に魅力を欠いているのか。前者であれば、このシートベルトはチャンスでもあります。後者であれば、シートベルトは締まっていても、それはそもそも運転する価値のない車です。

次に価格を目にしたとき

不動産の価格を目にするたびに、習慣として問うべきことがひとつあります。「この価格なら、新築した方が得か、それとも買った方が得か」。この問いを考えているとき、頭の中にメモ用紙に数字を書きなぐるブローカーの姿が浮かんできたなら、あなたはすでにこの教訓の半分を学んだことになります。

ゲームの法則 — 購入価格と再調達価格(新築コスト)の差は、下値リスクを守るシートベルトです。差が大きいほど競合する新規供給の脅威は小さく、差が縮まったり逆転したりしたときには、価格はすでに楽観をすべて使い果たしています。ただし、シートベルトは事故そのものを防いではくれません。安く買うことと、良い買い物をすることは、別の問いです。


出典

  • ウィリアム・J・プールヴ『The Real Estate Game』(1999年)——再調達価格テストと「二倍のコストなら誰も建てない」という原則を、直接引用ではなくブリーフとして再構成したもの。