不動産がゲームである理由——四人のプレイヤー(人・お金・建物・時間)

不動産をモノポリーのようなものだと考えている人は多いはずです。

不動産がゲームである理由——四人のプレイヤー(人・お金・建物・時間)


不動産をモノポリーのようなものだと考えている人は多いはずです。サイコロを振り、コマを進め、土地を買い、家を建て、家賃を集める。実際、不動産と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるイメージはこれでしょう。しかし、実際に不動産と長く向き合ってきた人たちは、むしろ逆のことを言います。モノポリーほど不動産の実態からかけ離れたゲームはない、と。

モノポリーが的外れなたとえである理由

理由ははっきりしています。モノポリーでは、ひとつの手がその次の手にほとんど影響を与えません。実力よりもサイコロ運がものを言います。盤面が動くスピードも、現実のどんな市場よりのんびりしています。そして何より、どの物件も見た目がまったく同じです。ホテルはホテル、家は家、ショッピングモールも倉庫もデータセンターも存在しません。極めつけは、両者にとって得になる取引を選手同士が交渉することを、ルール上はっきり禁じている点です(もっとも、たいていの人はこのルールを無視して独自の交渉を始めます。それによってゲームが面白くもリアルにもなるという事実自体が、すでに何かを物語っています)。

現実の不動産ゲームに近い絵はむしろこうです。盤上のコマは時間とともに価値を変えます。予測できる形で変わることもあれば、誰も予想しなかった方向へ変わることもある。同じコマが、あるプレイヤーにとっては宝物でも、別のプレイヤーにとっては頭痛の種になる。そして勝敗を決めるカードは、たった一組の山札からではなく、少なくとも四つの異なる山札から配られます。その四つの山札の名前こそ、この本が繰り返し立ち返ることになる骨格です。人・お金・建物・時間。

これほど賭け金の大きいゲームはそう多くない

「ゲーム」と呼ぶのは、不動産を軽んじているからではありません。むしろ逆です。世界で投資目的に保有されている不動産の総額は、優に数兆ドルを超えます。これほどの規模になると、勝ち負けは一人の財布の中だけでは収まりません。どこに住み、どこで働き、どこで休むのか。病人や高齢者をどんな空間でケアするのか。どれだけの人にどんな仕事の機会があるのか。そのすべてが、この盤上で決まっていきます。左脳(計算と分析)と右脳(直感と感覚)の両方を同時に要求する、稀に見る本気のゲームなのです。

四人のプレイヤー

このゲームには四種類の参加者がいます。それぞれ異なるルールで動き、互いに影響を与え合いながら、四者のうち誰一人として他の三者から切り離されて動くことはない、というのがこのゲームの本当の要諦です。

一つ目は、人(プレイヤー)。 少額の相続で初めて建物を買う初心者から、数十か国にまたがる資産を運用する巨大機関まで、盤上に足を踏み入れる人々です。規模こそ違え、誰もが同じ問いに直面します。「自分はこのゲームから本当は何を得たいのか」。純粋にお金だけを求める人もいれば、荒れた建物を蘇らせる満足感や、地域に必要な空間を作り出す喜びが、リターンと同じくらい大切だという人もいます。実際に損失を出しながらも自分を「成功した」と評価する人がいる、というのは奇妙に聞こえるかもしれません。しかしそれこそが、このゲームが数字だけでは回っていないことの何よりの証拠です。

二つ目は、お金(資本市場)。 これは異常なほど資本を欲するゲームであり、「お金は存在するのか、どこから来るのか、コストはいくらか」という問いが常に背景に横たわっています。銀行融資、年金基金、政府系ファンド、REIT、そして個人投資家の小口資金。このお金がどこから、どんな形で流れ込むかによって、同じ建物でもまったく異なる運命をたどります。他人のお金をどれだけ、どんな条件で借りるか(本書では後に「レバレッジ」という名前で詳しく扱います)は、このゲームの勝者を決める最も決定的な変数のひとつです。

三つ目は、建物(資産)。 オフィス、集合住宅、倉庫、ショッピングモール、そして近年はデータセンター。これらが盤上のコマです。じっとしてはいません。老朽化し、改装され、用途を変え、時が経つほど値を上げるものもあれば、ひたすら下がり続けるものもあります。同じ建物が、あるプレイヤーには金の卵を産む鶏でも、別のプレイヤーには重荷になる。立地、状態、そしてその分野が五年後にどう位置づけられるかが、そのコマの本当の価値を決めます。

四つ目は、時間(外部環境とタイミング)。 これが最もコントロールしにくいプレイヤーです。金利が上下し、景気が過熱したり冷え込んだりする。パンデミックのような誰も予想しなかったショックが起き、たった一つの規制が一夜で覆ることさえある。そのすべてが盤面をひっくり返しかねません。同じ戦略、同じ資本、同じ建物でも、参入したタイミングだけで勝者にも敗者にもなります。一つのゲームがどれだけ続くかさえ予測不能です。数か月で終わることもあれば、数十年に及ぶこともあります。

同じ手札、異なる結末

この四人のプレイヤーが実際にどう絡み合うのか、複数の実例を組み合わせた物語で見てみましょう。トップクラスのビジネススクールを出たばかりの青年が、少額の相続財産を元手に初めての建物を購入します。自己資金が薄いことを自覚し、大半を借入で賄うことに決め、実績のない新興エリアに賭けるのではなく、すでに定着した地域にある老朽建物を選んで改装する。初心者としてリスクを最小化する慎重な選択です。彼の手札は「人=資本の薄い初心者」「建物=実績あるロケーションの既存資産」「お金=借入依存」「時間=まだ未知数」でした。

同じ頃、別の青年が大学近くの古い木造家屋を相続します。まずは賃貸に出しながら開発の可能性を独学で探り、やがて学生向けの新築賃貸住宅の計画を立てます。計画そのものは堅実で、当初の資金調達にも目処が立ちます。しかし他の開発業者が同じ機会に目をつけて先に着工し、建設コストが押し上げられます。折悪しく景気も過熱して物価が急騰。最終的に資金調達がまとまらず、計画は頓挫します。彼がコントロールできたカード(人・建物)は悪くなかった。しかしコントロールできないカード(お金の値段、タイミングの潮目)が彼に不利に働いたのです。

海の向こう、ヨーロッパでは正反対の展開が起きます。ある起業家が、慣れ親しんだ市場を離れ、ちょうど開放され始めた新興市場に進出します。現地の言語を学び、まず信頼できる現地パートナーを確保する。いきなり本格投資に踏み切るのではなく、少額の土地リースで市場を試し、信頼関係を築いてから外国資本を投入して本格的なオフィス開発に着手します。予想より時間はかかりましたが、成功します。コントロールできない市場(新興経済特有の変動)に足を踏み入れながらも、コントロールできる変数——現地パートナー、資本投入の段階的な拡大——を一つひとつ丁寧に埋めていったからです。

三つの物語はいずれも、人も建物も資金調達もタイミングもすべて異なります。結果を分けたのはどれか一つの要因ではなく、四つの要素がどう絡み合ったかでした。優れた建物を選んでも資金のタイミングを誤れば崩れる。市場のタイミングを見誤っても、慎重なプレイヤーはなお持ちこたえられる。

この本が繰り返し立ち返る場所

人・お金・建物・時間。この四人のプレイヤーが、この本全体を貫く骨格です。キャップレートを説明するときも、REITを説明するときも、オフィス市場の危機を説明するときも、物語はいつもこの四つの軸のどれかが動き、ぶつかり、あるいは噛み合う瞬間に立ち返ります。次の項目からは、最初の道具——キャップレート——を手に取ります。


ゲームの法則 — 不動産は、人・お金・建物・時間という四人のプレイヤーが同時にカードを握るゲームです。どれか一つの手がどれほど強くても、残りの三つが噛み合わなければゲームは崩れます。良い結果は、幸運によってであれ努力によってであれ、四つの手が揃ったときに必ずやってきます。