賃料交渉——初デートの駆け引き
初デートで「で、年収はいくら?」と切り出す人はまずいません。
賃料交渉——初デートの駆け引き
初デートで「で、年収はいくら?」と切り出す人はまずいません。代わりに人はヒントを匂わせます。「最近仕事が忙しくて」(うまくいっている)。「転職も考えてるんです」(必死ではない)。「また来週、食事でもどうですか」(興味はあるけれど、がっつきすぎたくはない)。互いに相手を求めていながら、先に手の内を見せた方が負けだということを、二人とも本能的に知っているのです。
貸主とテナントがテーブルを挟んで向き合う瞬間も、まったく同じように進みます。貸主は「最近この物件には問い合わせが多くて」と言う。テナントは「正直、他の物件もいくつか検討しています」と切り返す。どちらも嘘をついているわけではありません。ただ、真実のどの断片を先に見せるかを、それぞれが選んでいるだけです。
数字より先に立てるべき問い
賃料交渉で初心者が最も陥りやすい失敗は、数字から切り出してしまうことです。それは初デートで「結婚したら子どもは三人欲しくて、毎週末ハイキングに行きたいんです」といきなり宣言するようなものです。手練れの交渉人は、数字にたどり着く前に、相手が本当は何を求めているのかを読み取ります。
あるベテラン開発業者は自身の交渉哲学をこうまとめています。「相手の立場を、相手自身よりも上手に主張できるほど準備しておくこと」が、交渉の場における最大の武器だ、と[1]。もし貸主が本当に望んでいるのが四半期末までに空室を埋め、融資担当者に良い報告をすることであれば、テナントは表面上の低い賃料よりもはるかに大きな譲歩と引き換えに、素早いサイン一つを差し出すことができます。逆に、テナントが本当に必要としているのが、その業種にしか成り立たない立地——移転コストが致命的になるような場所——であれば、貸主は賃料を下げる代わりに、より長い契約期間とより高い確実性を得ることができます。表面上は常に同じ「賃料交渉」に見えても、その裏で交わされている本当の交渉は、毎回まったく別物なのです。
取引はしばしば「巻き尺」の時点で決まっている
初デートで、はっきり言葉にする前にお互いをそれとなく値踏みするように、賃料交渉の多くは実際の駆け引きが始まる前にすでに決まっています。その典型が面積です。あまりにも基本的すぎて拍子抜けするかもしれませんが、商業不動産において面積を正確に測ることは、実は交渉力そのものの試金石になります。ある大手銀行のリテール物件をめぐる交渉では、建築士による測定結果は二万平方フィートでした。しかし相手方の交渉担当者は、同じ物件がわずか半年前、同じ会社との別の取引において二万二千五百平方フィートと測定されていたことを記憶していました。1平方フィートあたり70ドルとすると、この差は年間175,000ドルに相当します。誰も気づかなければ、そのまま消えてしまうお金です[2]。「測定はしばしばそのままお金である」というのは大げさな表現ではありません。数字をめぐる駆け引きが始まる前に、賃料交渉はまず「そもそも何が測定されているのか」を確認するゲームなのです。
価格を決めるのは条件である
ハーバードで長年不動産実務を教えたウィリアム・プールヴの同僚、ハワード・スティーブンソンは、印象的な言葉を残しています。「交渉で何を求めるかには注意した方がいい——本当に手に入ってしまうこともあるのだから」[3]。裏を返せば、交渉における本当の資産は価格ではなく、条件だということです。
ある開発業者の実際の交渉が、それを鮮やかに物語っています。誰もが「安いのには理由がある」と考えていた、と畜場に隣接する土地への入札で、彼は周辺相場の数倍にあたる、言い値そのままの金額を提示しました。周囲は正気を疑いました。しかし彼の計算は違っていました。その土地が安く見えるのは、隣のと畜場がその価値を押し下げているからにすぎず、と畜場は買い手が取り壊してしまえる一時的な障害物にすぎない、と読んでいたのです。この特定の区画にとって、周辺相場という数字自体が意味を持たなかったのです[4]。「そもそもなぜこんなに安いのか」と問わず、市場価格とだけ比較してしまった瞬間、その交渉相手はすでに駆け引きに負けています。
「価格ではなく条件で交渉する」というこの発想は、賃料交渉にもそのまま当てはまります。テナント改装費(TI)を誰が負担するのか、契約当初のフリーレント期間は何か月か、契約期間中に賃料が段階的に上昇するのか、テナントが契約途中で拡張オプションを得られるのか——そのすべてが、「表面賃料」と呼ばれるたった一つの数字の裏に隠れています。表面賃料が低くてもTI負担が重ければ、実質的にテナントが不利になることもあれば、表面賃料が高くても長いフリーレント期間があれば、実質的にテナントが有利になることもあります。
危機が訪れて初めて見える本当の関係
1970年代のオイルショックの際、あるインダストリアルパークのオーナーは、電気代を含む長期固定賃料契約に縛られていました。エネルギー価格が三倍に跳ね上がったとき、この建物の財務は破綻寸前まで追い込まれます。オーナーはテナント一人ひとりに直接会い、状況を正直に説明しました。すると驚くべきことに、テナントのおよそ95%が、追加の電気代を自ら進んで負担することに同意したのです[5]。その後もこれらのテナントの多くは、何年もその建物に住み続けました。駆け引きが終わったあとも、両者は自分たちがこれからも一緒にやっていくことを分かっていたのです。
賃料交渉は一度きりの勝ち負けを決めるイベントではありません。これから何年も付き合っていくことになる相手との、信頼構築の第一幕です。今回の交渉で一勝を稼ごうと強引に押しすぎた者は、次の更新時か、次の危機のときにその代償を払うことになります。相手が本当に必要としているものを読み取り、柔軟に条件を組み立てられる者こそが、トラブルが起きたときに真っ先に頼られる相手になります。
自分自身と交渉しない
もう一つ、指摘しておくべき失敗があります。相手がまだ最初の提示に反応してもいないうちから、自分から二つ目、三つ目の譲歩を差し出し始めてしまう人がいます。それは初デートで、相手の反応も聞かないうちから「来週でも再来週でも、いつでもそちらの都合に合わせます」とまくし立てるのと変わりません。交渉の場では、焦りそのものが情報になります。相手はその前のめりな態度を読み取り、ただじっと粘るだけで済んでしまいます。優れた交渉人がまず自分に問うのは、この取引を悔いなく手放せるだけの本当の代替案——別のテナント、別の物件——を持っているかどうかです。代替案を持つ者は、黙っていられる余裕を持てます。そして、黙っていられる者こそが、この駆け引きの勝者になるのです。
ゲームの法則 — 賃料交渉は数字だけのゲームではなく、情報のゲームです。先に手の内を見せた者が負け、相手が本当に求めているものを読み取った者が勝ち、そして表面賃料の奥にある条件の全体像まで見通した者こそが、より遠くまで、より快適に、共に歩んでいくことになります。
出典 [1] Brief 03(プールヴ『The Real Estate Game』第3章)——ある労働組合指導者の交渉力と「最も準備した者が勝つ」原則についての逸話 [2] Brief 07(プールヴ『The Real Estate Game』第7章)——銀行のリテール物件をめぐる面積再測定の事例 [3] Brief 09(プールヴ『The Real Estate Game』第9章)——ハワード・スティーブンソンの警句 [4] Brief 03——ゼッケンドルフによる、と畜場近くの土地買収交渉 [5] Brief 07——1970年代オイルショック時、インダストリアルパークのテナントの95%が自発的にコスト負担に同意した事例