サイクル ― 不動産の四季、ただし季節の長さはいつも違う
春が来れば、次に夏が来ることは誰もが知っています。
サイクル ― 不動産の四季、ただし季節の長さはいつも違う
春が来れば、次に夏が来ることは誰もが知っています。夏が盛りを迎えれば、次は秋が来る。季節は順番を違えません。誰にもわからないのは、それぞれの季節がどれだけ続くかということだけです。今年の春が三ヶ月で終わるのか、五ヶ月続くのか。不動産市場もまったく同じ仕組みで動いています。好況の後には不況が来る、それは誰もが知っています。わからないのは、この好況が三年で終わるのか、十年続くのかということだけなのです。
季節はいつも同じ順番でやってくる
不動産市場は驚くほど一貫したシーケンスをたどります。資金が緩み、金利が下がり、投資家が押し寄せて互いに競り合う。春です。価格は上がり続け、新規開発が洪水のように流れ込み、「今回は違う」という楽観が広がる。夏です。供給が需要を上回り、賃料の伸びが止まり、シグナルがおかしく見え始める。秋です。そして与信が枯渇し、ディストレスト売却が市場にあふれ、価格が崩壊する。冬です。振り返ればここ三十年だけでも、1997年のアジア通貨危機、2008年の世界金融危機、パンデミック期の超低金利バブル ― 引き金はそのたびに違いましたが、その根底には同じ構造が繰り返し現れていました。過剰な与信が不動産に積み上がり、あるとき弾ける、というものです。
ハーバードで長年不動産実務を教えてきたウィリアム・プアヴは、この反復を同僚ジョン・ヴォーゲルの言葉を借りて紹介しています。「不動産サイクルは十年続くが、人の記憶は五年しかもたない」。市場が崩れてからおよそ五年経つと、人々は昨シーズンの冬がどれほど寒かったかを忘れ、「今回は違う」ともう一度信じ始めます。ほぼすべてのサイクルのピークで、参加者の大多数は現在の相場が構造的なものであり反転しないと信じていました。1990年代末アジアの「成長は無限」という論、2000年代アメリカの「住宅価格は下がらない」という神話、2020年代初頭の「低金利は恒久的」という思い込み ― いずれも同じです。誰もが抽象的には季節が巡ることを知っています。それでも冬は来ないという幻想は、サイクルのたびに繰り返し現れるのです。
ではなぜ今回の季節はこんなに長く感じるのか
季節の順番は予測可能ですが、その長さは予測できません。短く鋭く終わる春もあれば、何年も続く春もあります。1930年代まで遡って米国不動産市場の底値を追跡したある人気の理論は、およそ十八年周期 ― 拡大十四年、収縮四年 ― を提唱しています。この理論の提唱者たちは、底値の年 ― 1933年、1952年、1970年、1990年、2008年 ― がその十八年の間隔にほぼ不気味なほど規則的に並んでいると指摘します。このパターンを最初に精緻化した英国の経済学者は、このフレームワークだけを頼りに2008年の崩壊を数年前から予測したことで知られるようになりました。もし時計が正確なら、次の底は2026年頃に来る計算になります。
ここで重要なのは科学的な精度ではなく、この数字が持つ直感的な説得力です。「なぜ不動産は、前回のことをみんなが忘れた頃に決まって崩壊するのか」という問いに対して、十八年という答えはもっともらしく聞こえます。しかし、ここには注意すべき罠があります。もしある季節が毎回まったく同じ長さで戻ってくるのなら、それはもはや季節ではなく時計です。不動産サイクルを本当に厄介なものにしているのは、むしろその逆で、大まかな順番は繰り返すのに、その長さはそのたびに異なる要因によって決まる、という点なのです。
この冬は、前の冬ではない
2020年代前半のサイクルは、このことを特によく物語っています。パンデミック期に史上最低水準まで下がった金利は急上昇し、超低金利の時代に膨らんだ資産の再価格付けを強いました。ここまでは、見慣れた冬のパターンです。しかし今回の冬には、その上にいくつもの見慣れない特徴が重なっています。
第一に、オフィス不動産という資産クラスそのものの有用性が問われ始めました。過去の冬は、与信が枯渇し、春が戻れば回復するというサイクルでした。今回はリモートワークの普及によって、一部の都市ではオフィスの稼働率がパンデミック前のおよそ半分にまで落ち込んでいます。これは景気が良くなれば埋まる空室ではなく、需要の構造的な低下です。ある調査会社は、米国オフィスの資産価値がパンデミック前の水準に回復するのは2040年頃になる可能性があると予測しました。つまり、この季節はもう戻ってこないかもしれないということです。
第二に、この再価格付けは単なる価格下落にとどまらず、資本構造そのもののボトルネックとして現れています。低金利時代に組成されたローンが一斉に満期を迎えるなか、世界的に見て膨大な量の商業不動産債務が2025年から2026年にかけて再交渉のテーブルに乗ることになります。パーティーが終わったあとに、ようやく請求書が届いたのです。
第三に、今回は時計が一つではなく複数あります。過去のアジア危機は欧米に対していくらか時差を伴いながらも、おおむね一つの世界的な与信サイクルの中で動いていました。しかし近年、中国の不動産市場は大手デベロッパーのデフォルトや清算に主導される形で、独自の再編を経験しています。それは欧米の金利サイクルとは異なるリズムで、異なる理由から訪れた、別の冬でした。世界の不動産サイクルはもはや一つの時計ではなく、異なる速さで回る複数の時計になっているのです。
同じ冬でも、花を咲かせる木がある
この季節の比喩には、最後にもう一つひねりがあります。冬にすべての木が同じように葉を落とすわけではありません。オフィスが苦戦する一方で、物流倉庫やデータセンター、シニアリビングといった資産クラスは新高値を更新し続けました。資本はまるごと凍りついたわけではなく、老いる季節を生き延びられない資産クラスから離れ、明らかに新しい需要のある資産クラスへと単に移動しただけなのです。商業不動産市場全体がそろって春を迎えたり冬を迎えたりするのではなく、枯れる木がある一方でかつてないほど生い茂る木もある ― このK字型のサイクルこそが、今のこの局面を特徴づけているのです。
サイクルを前にして、実際何をすればいいのか
季節の順番を知っていても、雪がいつ止むかを正確に予測することはできません。しかしただ、季節というものが存在することを決して忘れない ― それだけで半分の答えは出ています。夏の真ん中にいるからといって冬は来ないと信じた瞬間、その人は次のサイクルの犠牲者になります。そして最も厳しい冬にあってもなお、季節は必ず順番を守るということを覚えている人こそが、周りの誰もが崩れた価格に目を奪われている間に、春に花咲く木を見つけ出すのです。
プアヴの警句は、何度でも噛みしめる価値があります。サイクルは十年続き、記憶は五年で薄れる。「今はいったい何時なのか ― そして自分はもうそれを知っていると思い込んで、自分自身を欺いていないか」。それこそが、今まさにこの本を読んでいるあなた自身に問うべき問いです。
ゲームの法則 ― 不動産サイクルは季節のようにその順番を繰り返しますが、長さは毎回違います。「十年サイクル、五年の記憶」。冬を経験してからわずか五年で、人はまた「今回は違う」と信じ始めます。季節が来ることを決して忘れないこと ― それがサイクルに対するほとんど唯一の本当の防御なのです。
出典
- William J. Poorvu, The Real Estate Game (1999) ― 「十年の不動産サイクル、五年の記憶」という警句は、直接引用ではなく要約として再構成したもの。
- 十八年不動産サイクル理論(Homer Hoytの原観察を Fred Harrison が精緻化)と、1933年・1952年・1970年・1990年・2008年の底値の一致について: Norada Real Estate, “What is the 18-year Real Estate Cycle?”; Progress.org, “The 18-Year Pattern”; BiggerPockets, “The 18-Year Real Estate Cycle Ends in 2026.”
- 米国オフィスの稼働率がパンデミック前のおよそ50%にとどまり、価値回復は2040年頃と予測されている点について: Capital Economics(2026年の業界見通しで引用)。
- 2025〜2026年にかけて満期を迎える約7,000件・約1兆8000億ドル規模の商業不動産債務について: Deloitte Insights, 2026 commercial real estate outlook; PwC/ULI, Emerging Trends in Real Estate: Global 2026.
- 中国の不動産デベロッパーのデフォルトと清算(2021〜2024年)およびそれに伴う損失見積もりについて: Council on Foreign Relations, “Does Evergrande’s Collapse Threaten China’s Economy?”; CNN Business (2024); Wikipedia, “Chinese property sector crisis (2020–present).”